凍結保存とジーン・バンク

Cryopreservation and Genebank

動物の遺伝的多様性維持への応用を目標として、精子や卵の凍結保存に取り組みます。地球上の野生動物の遺伝的多様性が失われつつある現状は、人類にとって重要な課題を突き付けています。同様な問題は、家畜の世界でも生じています。ブタは世界の畜肉供給の約40%を担う重要な家畜ですが、その遺伝的多様性が近年急速に失われつつあることが危惧されています。そのようなブタの精子、卵子を実験材料として、生殖細胞の凍結保存に取り組んでいます。生殖細胞の凍結保存で培った技術は、再生医療に用いられる細胞シートや人工組織などの凍結保存にも応用されます。

研究課題

1) ブタ体外成熟/体外受精胚のガラス化保存

体外で人工的に生産したブタ胚の凍結保存に世界で初めて成功しました。この成果を元に、ブタのクローン胚や遺伝子組換え胚の凍結保存にも成功しています。

2) 細胞シートや胎仔臓器のガラス化保存

再生医療に用いられる 細胞シートのガラス化凍結保存法 を開発しました。変形性関節症や心疾患等の治療に用いられる細胞シートが、必要な時にいつでも供給される医療体制の構築のために凍結保存は不可欠です。我々のガラス化保存技術(特許5915977号)は、革新的医療の実現に貢献します。また、近年発展の著しい臓器再生研究においても、凍結保存技術は重要な役割を果たしています。

ネコの腎臓再生研究における胎仔腎臓の凍結保存 にも、我々のガラス化凍結技術が利用されました。